忍者ブログ
設定置き場。擬人化苦手な人は要注意。苦情などお気軽にどうぞ。
[262]  [261]  [258]  [257]  [256]  [253]  [249]  [248]  [242]  [238]  [235
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

獄様宅、ノア様をお借りしました。
我が家からはレミラ。
お誕生日おめでとう小説・・・のつもりです(
一部、軽くですがBL的表現有。
例の如く長いです。
色々ごめんなさいorz



追記からどうぞ。


ひらひらひらと、踊るように舞い落ちる桜を背に、
ひどくゆっくりと、唇が動き始めた。 


「その言葉の意味は・・・」



冬には人影を感じられなかった街も、
春になり、冬眠から目覚める動物たちと同じように、
少しづつだが、活気を取り戻しつつあった。
とはいっても、まだ疎らな人込みの中で、
殆どの人間が、冬眠から冷め切っていないか、
それとも、新生活が始まる不安から来る
ストレスで疲れたような、生気の感じられない顔で
うろついていると言うのに、
不安もストレスも何も感じていないであろう、
まさしく太陽のような満面の笑みを浮かべた少年と、
その少年に、腕にしがみ付かれたまま
困ったように眉を「ハ」の字にして笑う
燕尾服を着た青年の二人組みは、
幸せの塊のようで、オーラといった類の輝きを放ちながら、
冬眠を通り越して永眠しそうな街と蠢く人を気に留めず、
バレエでも踊るように軽やかに歩いていた。

心なしか寒々とした周りの視線か、歩き続ける事に疲れたのか。
恐らく後者が理由なのだろう、セミの様に腕にしがみ付いていた少年が
ふぅ、とため息をつきながら、歩道の脇にポツンと設置されたベンチに
飛び乗るようにして座り込んだ。
あまりに勢いをつけすぎたのか、ベンチの背もたれに腰を打ちつけたらしい。
いったーい!と、大袈裟な悲鳴をあげると、
周りからギロリと白い目が突き刺さった。
白い目も気にせず、青年はベンチに座り込んだ少年の隣へ腰を下ろした。
少年は、隣に座る青年の肩へもたれかかり、幸せそうに目を閉じた。
――とても親しげな様子。
親子か、年の離れた兄弟か。
だが、少年は純白の髪に青年は深い紫色の髪色に、
同じ紫の瞳と、二人の容姿や顔つきは、全く違うものだった。
腹違いの兄弟や、養子であったりするのかもしれない。

もしくは、恋人同士か。

むしろ、援助交際のように見えなくもないが、
どちらにしろ、親密な関係であることに間違いはないだろう。
少年は少しだけ頭を上げると、大きな瞳で青年の横顔を見つめた。
青年は、自分を熱く見つめる視線に気が付き
微笑むと、少年の額に優しくキスをした。
突然のキスに驚き、照れくさそうに額に手をやると
また青年の肩へもたれかかり、青年も嫌がる素振りも見せず、
少年の腰に手を回し、体を抱き寄せた。
時折目が合っては、微笑んだり、照れ笑い、
額以外にも、髪や頬に口づけたりと、見ていてこちらが恥ずかしくなるくらい
二人は「幸福」を心から満喫しているようだった。
きっと、二人の頭上には天使が飛び回り、バラの花びらを撒き散らしているだろう。
天も、二人のために空を覆った雲をこじ開け、
太陽の光をスポットライトにし、二人を照らしだしているに違いない。
世界中の人間が、二人のように互いを愛する事ができたら、
この世界からは、戦争が消えてなくなり、
今まさに高らかな舌打ちをしている街の人々も、
きっとスキップをして明日を楽しみに待てる。
そう思えるほど、二人は幸せと愛を体と心で表現しきっていた。
ただ一つ、男同士であることには目を瞑るとしても。

「ねぇ、レミラくん」

少年はもたれていた体をさっと起こすと、
青年-レミラの方へ向き直った。

「なんでしょう、ノア」

少年の名前はノアと言うらしい。
やはりニコニコと微笑みながら、同じように
レミラも体をノアの方へと反転させた。

「ね、今日何の日か覚えてる?」

明らかな期待を込めた、キラキラと輝く瞳で
一層熱くレミラを見つめながら、
どっちの服が似合うだとか、仕事と私どっちが大事なの?
といった、聞かれても困る質問の一つであろう
「今日何の日?」を、ノアはサラリと言ってみせた。
普通の男性であれば、冷や汗を流しながら思い出すまで時間を稼ぐだろう。
が、レミラは、一瞬の間も置かずに一言。

「何の日でしょうね」

その言葉を聞いたノアが、世界の終わりが来たかのように
絶望に満ちた表情に一変したのは、言うまでも無い。
その表情を見て、ようやく安心したように街の人間が
レミラとノアから目を逸らした事も。
顔をうつむけ、今にも泣き出しそうに、
しょんぼりと肩を落とすノアを見て、レミラは慌てて
ベンチから立ち上がり、俯くノアの前に
片膝を付きしゃがみこむと、手袋をはめた両手で
ノアの両頬を包み込み、小さな子供をあやす様にして

「愛する人の誕生日を忘れるわけ無いでしょう?」

伏せた目で上目遣いにレミラを見ると、
ほんと?と、か細い声で聞き返した。
「本当です、本当ですってば」
「ホントにホント?」
「本当に本当です」
何度も繰り返し尋ねて、やっと先ほどの返答が
ちょっとした冗談であったと気が付いたノアは
また見ているだけで幸せになりそうな笑顔を取り戻した。
その笑顔を見て、レミラも口角を少し持ち上げて
微笑を浮かべると、片手を離し、燕尾服のポケットへやると
恭しく小さなケースを取り出し、ノアの目の前に差し出して見せた。

「プレゼントです」

大きな瞳をさらに大きく見開き、ノアは驚いた様子だったが、
すぐに手を伸ばし、ケースを受け取ると、ケースの蓋を開けた。
中に入っていたのは、飾りが一切無い、シンプルなシルバーリング。
ノアは、指輪を取り出すと、雲の切れ間から覗く光に
指輪を掲げて見せた。

「すごーい・・・」

輝く指輪を目を細めて眺めながら、ノアは歓声を上げた。
手を下ろすと、嬉しそうに指輪を指で転がしながら
それでも何処かもどかしそうに、口を開いた。

「あの・・・、指輪、はめてくれる?」

可愛らしい申し出を、レミラは二つ返事で快諾すると、
指輪を受け取り、新郎が新婦にするようにして
左手の薬指に指輪をはめた。
思いがけないプロポーズとも取れるレミラの行動に
耳まで真っ赤になりながら、ありがと、と
小さな声で言うと、左手を取り、ベンチから立ち上がらせると
来た時と同じように、腕を組み、歩き始めた。



「ねぇ、レミラくん」
「なんですか、ノア」
「指輪に彫ってた、あの言葉の意味ってさ・・・」
「気が付きましたか」
「気が付くよ」
「・・・どうしても知りたいのですか?」
「うん」

そう言うと、レミラは腕を解き、ノアのほうへ向き直った。
ただ、今度は真剣な顔で。
もう一度混ざり合う、紫と黄色の眼差し。
何処から風に乗って飛んできたのだろうか、
ひらひらひらと、踊るように舞い落ちる桜を背に、
ひどくゆっくりと、唇が動き始めた。 



その言葉の意味は・・・



Mo Chuisle

愛する人よ、貴方は私の血








************
終わりました。死ぬかと思った。死にませんが。
えー、ノア様のお誕生日おめでとう小話です。
長いですね、えぇ。分かってます(刺
これでも縮めた方ですが・・・。だめですね。
えぇと、書きながら家族と会話している際
「ナナ(犬の名前」を「ノア」といったり、
返事をする際に「セミ?」といったり、
なんか感染されてきました。
あとは・・・、最期がやっつけなのはごめんなさいorz
集中力が足りなかったんです、ごめんなさい。
生まれてきてごめんなさい。

実は前々から考えてた話なんですよ。
時期によっては、桜が雪になったりしましたが。
そのぶん書き易かったです。楽しかったです、私だけ。
あ、書き出しはリバース・ムービー
(映画を終わりから上映し、始まりがEDになる・・・みたいな)
・・・のイメージですが、何だか失敗した感が・・・orz

モ・クシュラはミリオンダラー・ベイビーより。
訳は一部変わりましたが・・・。大丈夫でしょう(死ね
タイロルは「コーヒーアンドシガレッツ」から。似てませんが。
BGMは「倉橋ヨエコ*ラブレター・流星」
あとマックイキナサイ(

どんだけ人に冷たくて死にたがりな街なんでしょうね(唐突

で、あとは、えぇと、その、色々ごめんなさい・・・。



一応、転勤だとか保存だとか、獄様のみOKです。
が、こんなの載せるだけ容量の無駄ですので
一応「こんなの書きやがってプチ殺すぞ」と
御連絡頂けたら、何も考えずに屋上から飛んできます。
削除・修正要請もお気軽に。

見なかったことにする、小馬鹿にする、
呪ってみる祟ってみるなど、皆様ご自由に。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
さぽているの愛時(まなじ)
フリーエリア
忍者ブログ [PR]